賃貸における耐震基準とは?入居者のリスクや確認方法について紹介

賃貸物件を選ぶ上で、耐震基準は非常に重要な要素です。地震が頻発する日本において、適切な耐震性を持つ建物は入居者の安全を確保するために欠かせません。

そこでこの記事では、賃貸住宅における耐震基準や入居者のリスク、さらには耐震性を確認する方法について詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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目次

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大阪市中央区東心斎橋1-12-10 21akikoビル4F
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定休日不定休
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耐震基準とは?

耐震基準は、住宅や建築物が耐えられる地震の強さや揺れに関する基準です。地震が発生した際に建物の倒壊や損傷を最小限に抑え、住民や利用者の安全を守るために定められています。

耐震基準は建築基準法や地方自治体の条例によって示され、建築物の設計・施工・運用において厳格に守られます。ここからは、旧耐震基準と新耐震基準、現行の耐震基準、さらには耐震グレーゾーン住宅について解説していきます。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

旧耐震基準1950年11月制定中規模の地震(震度5程度)でもほとんど損傷しない設計
新耐震基準1981年6月改正大規模な地震(震度6強〜7程度)であっても建物が倒壊や崩壊することがないよう設計
現在の耐震基準
(現行耐震基準/新・新耐震基準)
2000年6月改正大規模地震時の建物の安全性を確保するために「限界耐力計算」が義務付け

「建築基準法」の起源は、1919年に制定された「市街地建築物法」にまで遡ります。1923年の関東大震災の後、法律はすぐに改正されました。そして、市街地建築物法は廃止され、戦後の1950年に「建築基準法」が制定されました。この法律では、建築物の耐震設計が初めて義務付けられ、旧耐震基準が策定されました。

その後も、大地震が発生するたびに耐震基準は改正されてきました。1981年には、宮城県沖地震を受けて改正された新耐震基準が導入され、建物が倒壊しないようになりました。さらに、1995年の阪神・淡路大震災を受けて、2000年6月には現行の耐震基準(現行耐震基準および新・新耐震基準)が改正されました。

現行の耐震基準とは?

現行の耐震基準は、2000年6月に改正されました。この改正では、建物の地盤に応じて基礎構造が定められ、地盤調査が義務付けられています。特に木造建築物においては、柱や接合部を金具で固定し、耐力壁のバランスを考慮して耐震補強が行われるように規定されました。

さらに、2004年の新潟中越地震を受けて2005年にも耐震基準が改正されました。これにより、さらなる安全性が確保されています。

また、2006年の耐震偽装事件を受けて、2007年には建築確認申請がより厳密な審査基準で行われるようになりました。これにより、建物の耐震性に対する監査が強化されました。

耐震グレーゾーン住宅とは?

新耐震基準には該当しているものの、現在適用されている耐震基準である2000年改正版を満たさない木造住宅は、倒壊のリスクが高いとされています。これらの住宅は、一般的に「グレーゾーン住宅」と呼ばれ、深刻な問題です。

2016年の熊本地震や2024年の能登半島地震では、旧耐震基準を満たさない物件だけでなく、これらの「グレーゾーン住宅」でも多くの被害が報告されました。耐震グレーゾーン住宅の場合、耐震性の改善や補強工事が必要とされることもあります。そのため、グレーゾーン住宅の耐震化が急務であると指摘されています。

耐震基準を満たしていない建物の割合

建築物の耐震性は、地震時の災害リスクを軽減するために非常に重要です。

しかし、現実にはまだまだ耐震基準を満たしていない建物が存在しています。ここでは、マンションと一戸建ての建物に焦点を当て、耐震基準を満たしていない割合について紹介します。

マンション

マンションは多くの住民が共同で暮らすため、耐震性は極めて重要です。しかし、実際に耐震基準を満たしていないマンションが多く存在しています。

国土交通省による「マンション政策の現状と課題」に掲載されている情報によると、耐震基準を満たしていないマンションは約104万戸となっています。これは非常に深刻な数字であり、地震が発生した際には大きな被害をもたらす可能性があります。

マンションの耐震性を向上させるためには、建物の管理組合やオーナー、そして建築関係者の協力が欠かせません。定期的な耐震診断や補強工事の実施など、積極的な対策が求められます。

一戸建て

一戸建ての耐震基準を満たしていない数は約1300万戸となっており、一戸建ても耐震基準を満たしていない割合も決して少なくありません。

地震リスクのある日本において、家族が安心して生活を送るためにも、耐震性の向上は不可欠です。一戸建ての耐震補強には、家屋の建築年数や構造などを考慮し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。地震に強い家を建てるために、専門家の知識と技術を活用しましょう。

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耐震基準を満たしていない賃貸に入居するリスク

賃貸住宅において、耐震基準を満たしていない建物にはさまざまなリスクが伴います。

ここでは、耐震基準を満たしていない賃貸に入居することによるリスクについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

過失責任の可能性がある

耐震基準を満たしていない建物に住んでいる場合、地震などの自然災害が発生した際には、建物の損壊や倒壊のリスクが高まります。

入居者の不注意や過失によって建物や設備が損傷した場合、入居者が責任を負う可能性があります。たとえば、「禁止されている場所で暖房器具を使用していて、地震で倒れて室内が火災になった」とか、「ベランダに不安定な鉢植えを置いていたため、窓ガラスが割れた」というような場合は、入居者の過失責任が問われることがあります。

また、民法第615条では「賃借人の通知義務」が定められています。地震による建物の損壊や損傷があった場合、入居者は速やかにオーナーや大家に連絡する必要があるでしょう。

家財の損害や治療費の負担の可能性がある

耐震基準を満たしていない建物は、地震による揺れや建物の損壊のリスクが高いです。万が一地震が発生し、入居者の家財が損壊し、入居者が怪我をした場合、その損失や治療費は入居者が負担しなければなりません。

ただし、入居者が耐震性や設備の不具合を大家に注意していたにも関わらず、適切な対応や修繕義務をしてもらえなかった場合は、オーナーが修繕費・治療費を負担する必要があります。

耐震基準を満たしていない建物に住んでいると、災害時には高額な費用負担が発生する可能性があることを頭に入れておきましょう。もしも賃貸借契約の火災保険に「地震保険」が含まれている場合、入居者の家財道具は地震による損害補償の対象となるので、加入を検討するのも良いでしょう。

立ち退きの可能性がある

地震が発生すると、賃貸住宅は倒壊または全壊する可能性があります。このような場合、賃貸借契約は無効となります。そして、賃貸借契約がなくなるため、入居者は退去を求められるでしょう。

安全な住環境を確保するためにも、耐震基準を満たす建物への移転を検討することが重要です。

賃貸の耐震基準を確認する方法

一戸建てやアパートなどの建物の耐震基準は、以下の書類で確認できます。

  1. 建築確認済証
  2. 完了検査済証
  3. 建築計画概要書

これらの書類を調べることで、建物が何年何月の基準に基づいて建てられたのかがわかります。建築確認済証や完了検査済証が古い資料で確認することができない場合は、建物の所在地の市区町村で建築計画概要書を閲覧すると良いでしょう。

南海トラフ地震に向けて賃貸でできる地震対策方法

南海トラフ地震は日本を襲う可能性のある大地震であり、地震対策は重要な課題となっています。賃貸住宅に住んでいる方も、できる限りの対策を行うことで身を守ることができます。

ここからは、南海トラフ地震に向けて賃貸住宅でできる地震対策方法について紹介します。

食料や日用品を確保しておく

地震発生後は交通機関が麻痺することや、スーパーやコンビニなどの店舗が一時的に供給が滞る可能性が高いです。そのため、余裕を持って非常食や生活必需品を備蓄しておくことが重要です。

  • 食料…3日分の食料(ご飯/ビスケット/板チョコ/乾パンなど)
  • 飲料水…3日分(1人1日3リットルを目安)
  • 日用品…トイレットペーパー/ティッシュペーパーなど

地震が大規模に発生した際には、安心感を得るためには1週間以上の備蓄が必要です。賃貸住宅においても、常備食や飲料水、お薬などを最低でも数日分は準備しておくことをおすすめします。万が一の時に備えて準備しておきましょう。

生活用水を確保しておく

地震発生後は、水道が止まる可能性があります。そのため、常備水を確保しておくと良いでしょう。

生活用水が確保できないと、トイレの使用や水の利用が制限されてしまいます。そのため、日常生活の中で備えておくことが重要です。水道水を入れたポリタンクを常備するか、風呂に余分な水を溜めておくなどの対策をしておきましょう。

家具を固定しておく

南海トラフ地震に備えて賃貸住宅で地震対策を行う際、家具の固定は効果的な方法の1つです。固定することで、地震発生時に家具が倒れたり、ずれたりすることを防げます。

家具の上に専用の非常補強シートを敷くことで、家具と床の間に摩擦を生み出し、家具の動きを抑えます。防災用品店やホームセンターで入手可能です。また、家具の重心が安定し、倒れにくくなるように、重い家具は下の方に配置しましょう。

賃貸契約によっては、家具を壁や床に直接固定してはならないなど、家具の固定に関して制約があるので、事前に大家さんや管理会社に相談しましょう。

周辺のハザードマップを確認しておく

ハザードマップは、自然災害の被害軽減や防災対策に役立つ地図です。被災想定区域や避難場所、避難経路などの防災関連施設の位置を示していて、防災マップや被害予測図、被害想定図、アボイドマップ、リスクマップとも呼ばれます。

自治体ごとにハザードマップを作成し、公表している地域もあります。賃貸住宅にお住まいの方は、所在地の周辺におけるハザードマップを確認しておくことが重要です。

以下の記事では、大阪のハザードマップについて詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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まとめ

この記事では、賃貸における耐震基準を紹介しました。

賃貸住宅における耐震基準は、入居者の安全を確保するために非常に重要です。賃貸住宅の耐震基準は、地方公共団体や国の基準に基づいて設定されています。建物の耐震設計や耐震補強工事の実施状況を確認し、十分な安全性が確保されているかを確認しましょう。

また、賃貸物件の耐震基準やリスク評価は、不動産会社や賃貸管理会社に問い合わせることで詳細を確認できます。地震発生時に備えて、必要な防災グッズを揃えることも重要です。

この記事を参考に、非常食や水、懐中電灯、ラジオなどの備品を用意し、緊急時に備えて常備しておくようにしましょう。

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この記事を書いた人

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